2012年10月8日月曜日

ストラディヴァリウス コンサート 2012 @芸術文化センター KOBELCO大ホール 9月8日



なにしろストラディヴァリウスである。

過去のオークションで、状態の良いものが一挺12億円で落札されたあのストラディヴァリウスなのだ。しかもそれ、今回主催の日本音楽財団が、東北の震災支援の関係で出したもので、つまりはそのクラスのものが10挺も集合した恐るべきライヴだったわけで、もちろん演奏者は狭き門の各種コンクールを勝ち抜いているわけで、その副賞としてこのストラディヴァリウスを貸与される権利を獲得しているわけで、楽器も演奏者も無茶苦茶、豪華なコンサートだったわけだ。
もちろんある程度は期待して行ったのだが、まさかそこまでとは、もらったパンフレットをあとで熟読して知った(苦笑)

雑音を出さない。選び抜かれた音を正確に、かつ慎重にかつ慎重に、丁寧にかつ丁寧に。そして与えられたリズム、テンポの中、ダイナミズムも保ちながら、リアルタイムで音を鳴らしていく。それぞれの演奏者はある意味、精密機械を操るエンジニアの様だった。

弦楽を中心にしたジャンルの中で楽曲を選び、披露する関係で、作曲家が偏るのは仕方がないか。しかし、ラベルの楽曲は今回、本当に変則的なものが多いと感じた。

演奏者の中ではスヴェトリン・ルセフが、暗譜で、短いながらも豪快な演奏を披露したが、出演も一度だけでえらくプレミアム観を醸し出していた。いわし亭部長はスヴェトリン・ルセフが一番良かったと思う。

最後の演目は、メンデルスゾーン 「弦楽八重奏曲 変ホ長調 作品20」。八挺もの弦楽器が重なりあう ともなると、音の厚み、サウンドの高級感は最上級であり、素晴らしいと言うしかない空間が醸成される。この例えようのない幸福感は、まさにこの楽器に、この演奏者あってこそであり、この時、ホールは癒しの一大空間と化していたのだと思う。
この豊穣なサウンドの中では、もはや抗うことなく、この音の中に浮かび上がるようなイメージで、その波間に漂う自我を眺めているしかないのだろう。


天国にいちばん近い至福の2時間半。



(余禄)
ひどい話だな
独税関 またバイオリン名器押収 ストラディバリウスに1.2億円請求

で、当然なんだけど
ヤンケさんのストラディバリウス、無償で返還






ストラディヴァリウスの真実と嘘 至高のヴァイオリン競演CD付き



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