2015年7月20日月曜日

今日はブルース・リーの話をしよう ~ 2015年は生誕75周年の記念イヤー




今日は、ブルース・リーの命日です。

ブルース・リーというと、もはや歴史上の人物という感覚が凄くて、おいそれと批判しようものなら、とんでもない炎上に見舞われそうな勢いです。実際、タイム誌が選ぶ 『 20 世紀で最も重要な・偉大な 100 人 』 では、ネルソン・マンデラやアインシュタインと並んでブルース・リーの名前が見つかります。

後ろの映像のブルース・リーのムーヴとのシンクロ率がモノ凄い

戦場カメラマンの渡部陽一さんが、現地の子供たちと打ち解けるためにブルース・リーの物マネをしたり、“ 民族和解の象徴に ” との願いからボスニア・ヘルツェゴビナに銅像がたてられたり ( なんで東欧? )、彼が 『 死亡的遊戯 』 で披露したヌンチャクさばきを完コピした 5 歳のちびっこの youtube が 3 カ月足らずで 800 万回以上再生されたり、映画 『 アベンジャーズ / エイジ・オブ・ウルトロン 』 でトニー・スタークがブルース・リーのTシャツを着ていたり、彼が ’73 年に亡くなって、早 40 年以上がたとうとしているのに、いまだに彼の話題は尽きません。


ロバート・ダウニー・ジュニアは、プライヴェートでもこのTシャツを
着てるんで、マジでブルース・リーのファンなのかも
国境や人種、思想、信条を越えて、ブルース・リーがたくさんの人々に受け入れられている現状は、長年のファンからすれば確かに嬉しいのですが、同時に違和感も覚えます。

というのも、初めてブルース・リーと出会った当時、一般の映画ファンや映画評論家、専門誌の彼への態度は決して好ましいものではありませんでした。ブルース・リーを取り上げた記事は、基本ゲテモノ扱いで、誹謗中傷はごくごく当たり前、ふざけた調子の文章ばかりで、彼やその作品を真面目に論じようとした姿勢はむしろ珍しかったのです。

そしてこれは非常に悲しい事でもあるのですが、ブルース・リー本人は決してそうではないのに、彼の物マネをしている人はバカにしか見えない。この事実に気付いてから、筆者はブルース・リーの物マネを一切しなくなりました ( 苦笑 )

ブルース・リーが世界に発信した最も有名なメッセージ

お堅い業界誌のようで何となく苦手だった “ キネマ旬報 ” 恒例の年間ベスト 10 で 『 燃えよドラゴン 』 を 1 位にしたのは、全 66 人の選考委員中、小森和子 ( 小森のおばちゃま ) と竹中労 ( ルポライター ) の 2 名だけ。投票した選考委員も五木寛之 ( 作家 )、河原畑寧 ( 読売新聞文化部 )、黒井和男 ( 興行評論家 )、白井佳夫 ( 映画評論家 ) ら 11 名にとどまり、結果は 16 位でした。
一方 “ キネマ旬報 ” のカウンターとして機能してきたはずの “ 映画芸術 ” ではさらに苦戦していて ( “ キネマ旬報 ” がポルノ映画に対して門戸を開かないことについて執拗に追及していたわりには、『 燃えよドラゴン 』 の様な大衆作品をワースト 5 に選ぶ というような、妙なポージングが見られます )、全 60 人の選考委員中、蓮實重彥 ( 第 26 代東京大学総長 ) と佐藤重臣 ( 映画雑誌編集者 ) が 1 位に推した程度で、結果は 30 位でした。
また、遅ればせながら ’04 年にはアメリカ国立フィルム登録簿に 376 番目のフィルムとして選出され、永久保存されています。

結局、リアルタイムで評価できた業界人は、ほとんどいなかった ということになりますが、第一人者としての自負が社会現象になるような物事を見下しがちな傾向は、どんなジャンルにもあるように思います。本来ならば、その社会現象を分析することこそ、評論家を名乗る人々の仕事のはずなのですが・・・


しかし、“ キネマ旬報 ” の黒井和男の興行レポートによると 『 燃えよドラゴン 』 は当時、年間1本出るか出ないかと言われた配給収入 10 億円越えをはたし、続く 2 本の主演作品と併せてブルース・リー一人で実に 28 億円を稼ぎ出したのです。’ 74 年の洋画配給成績が 210 億円 ( 推定 ) ですから、この収入は何と全体の 1 割以上に当たり、映画界 10 大ニュースのトップにランキングされるというとんでもない社会現象だったのです。

ちなみに ’74 年は 『 エクソシスト 』 『 パピヨン 』 『 スティング 』 『 ペーパームーン 』 『 ジーザス クライスト スーパースター 』 『 ジャッカルの日 』 『 少女ムシェット 』 『 悪魔のはらわた 』 『 エマニエル夫人 』 といった名作、話題作、怪作ぞろいの年であったと同時に 『 悪魔のシスター 』 ( B.デ=パルマ 次作が 『 ファントム・オブ・パラダイス 』 ) 『 続・激突!/カージャック 』 ( S.スピルバーグの劇場デビュー作 次作が 『 ジョーズ 』 ) 『 アメリカン・グラフィティ 』 ( G.ルーカス 次作が 『 スターウォーズ 』 ) 『 カンバセーション … 盗聴… 』 ( F.コッポラ 前作が 『 ゴッド・ファーザー 』 ) なども公開されており、その後の映画界を大きく変える才能の種が蒔かれた大事な年だったとも言えるでしょう。ただ、下世話に一言でまとめてしまえば、“ ドラゴン・オカルト・エロ ” であり、こうした括りの企画がやたら多かった年でした ( 苦笑 ) 

ブルース・リーのジークンドーのムーヴは、スピーディ過ぎて見えない

’73 年 8 月、『 燃えよドラゴン 』 はハリウッドのグローマンズ チャイニーズ シアター ( シアター前の “ ウォーク オブ フェーム ” にはブルース・リーのプレートもあります ) で公開され、大事件を巻き起こしますが、彼はその成功を見届けることなく、すでにこの世を去っていました。正にこの作品を命懸けで完成させた とも言え、実際 『 燃えよドラゴン 』 のブルース・リーは、一つの魂が燃え尽きる直前の凄まじい輝きを放っています。

中学生の頃は “ カッコいい ” という単純な憧れでしかなかったのですが、’14 年秋、塚口サンサン劇場の企画上映で鑑賞した時は、試合を通して妹のかたきを討つハイライト シーンで、ブルース・リーが見せる立ち姿のあまりの芸術的完成度に本当に泣けてきて、たいそう困りました。年のせいか、最近は涙もろくなっていて、いけません。


’74 年当時と 21 世紀の現在で、ブルース・リーほど日和見評論家を量産した俳優はいないでしょう。当時、非常に悔しい思いをした第一世代のファンとしては、平気で後出しジャンケンをする厚顔無恥な評論家は、一人一人つるし上げにしたいくらいです。

ここまでいろいろとお話ししてきましたが、これから初めてブルース・リーに接する映画ファンの皆さんは、転向ばかりの御用評論家はモチロン、熱狂的なマニアの神対応もいったんリセットして、プレーンな状態で彼に接してみて欲しいと思います。7 月 20 日の命日の前後には映画館や衛星放送などでブルース・リーの作品に出会う機会が多々、あります。出来るだけたくさんの人に彼の作品を見て欲しいと思います。

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ブルース・リー映画 諸作品のサントラ事情 ( 1 ) 『 ドラゴン危機一発 』 


著作権という概念が存在しない亜細亜圏での娯楽・ヴァラエティの制作現場は、そういったことに疎い少年にとってはまさにミステリーでしかなかった。この辺りに関するレポートも結構、あったように思うのだが、中高生レベルの読解力で、ちゃんと解題できていたとはとても思えない。
ハリウッド映画であった 『 燃えよドラゴン 』 はともかく、それ以外のブルース・リー作品のサウンドトラックを取り巻く摩訶不思議な世界は、さながら曼荼羅の様相を呈しており、とてもじゃないが一朝一夕には理解しがたい。
例えば、いわし亭が鑑賞した 『 ドラゴン危機一発 』 には、いわし亭のフェイヴァリット ピース キングクリムゾンの 「 太陽と戦慄パート2 」 が流れるものがあった。ソフトコアポルノの金字塔 『 エマニエル夫人 』 ( Emmanuelle ’74 年 ) の挿入曲 「 Rape Sequence 」 という楽曲 が、この 「 太陽と戦慄パート2 」 の盗作ではないか? として実際にリーダーのロバート・フィリップが訴訟を起こしたくらいそっくりで、タイを舞台にした 『 危機一発 』 がサントラ面でアップデートの際、この「 太陽と戦慄パート2 」 を洒落で使用した というのは考え過ぎか ( 苦笑 )。あるいは、『 怒りの鉄拳 』 の随所で流れる印象的なメロディは、そのほとんどが英国映画 『 小さな冒険者 』 ( Flight of The Doves ’71 年 ) の 「 Here Come The Hawk 」 を抜粋・編集したものだ。また、ジャッキー・チェン渾身のダブルで鈴木館長が数メートルも吹っ飛ばされるクライマックスシーンにはジョルジ・リゲッティの 「 無限の宇宙 ( アトモスフェール )」 が 『 2001年宇宙の旅 』 のサウンドトラック盤から使われ ( ブルース・リーは 『 2001年宇宙の旅 』 がお気に入りだったようで、自身が個人的に編集したテープの冒頭に 「 ツァラトゥストラはかく語りき 」 が入っていたりする )、その後、放心したように陳眞が天を仰ぎ見るシーンでは映画 『 フレンズ ~ ポールとミシェル 』 ( Friends ’71 年 ) のメロディが流れる。

そもそも、香港映画のマーケットは世界中に広がる華僑を中心に、多種多様な亜細亜民族や有色人種をそのターゲットにしてきたという事情がある。そのため、セリフを各国語に吹替える、音楽を相応しいものに差し替える ( 実は日本でもそうだった ) といったことが頻繁に行われていて、輸出先の事情に応じた仕様変更が施されるのだ。

香港映画では、騒音問題やコスト カットの関係から映画のサウンドトラックは、スタジオで制作され、同時録音はほとんどない。また各国語版を制作する必要から、そのためのアテレコ専門の声優が沢山いて、新参者であったブルース・リーもまたこの慣習に従うしかなかった。そのため、『 ドラゴン危機一発 』 『 ドラゴン怒りの鉄拳 』 『 ドラゴンへの道 』 の英語版で初めて聴いたブルース・リーの声は実はブルース・リー本人の声ではなかったのだ ( サウンドトラック盤を擦り切れるほど聴いたあの時間をかえせ~!! ) ちなみに、『 ドラゴン怒りの鉄拳 』 では、ロバート・ベイカー ( ブルース・リーがオークランドで振藩國術館を開いていた時の弟子 ) 演じるロシア人ボクサー ペトロフの声を何とブルース・リーがアテている。 『 ドラゴンへの道 』 に関しては、ブルース・リーがアテたモノが存在する という情報もあったが、いわし亭は見たことがない。そもそも日本初公開の英語版自体、主題歌やメインテーマなど、日本で独自に制作し、追加した日本オリジナル版だったため、現在、映画館で鑑賞可能なメディア アジア社配給版と比べるとやはり違和感がある。

ことに違和感の強烈なのが 『 ドラゴン危機一発 』 。日曜洋画劇場で ~ 監督はロー・ウェイ! 私この人知りません! ~ という淀川長治御大の軽妙な解説にのせてテレビ初放映された藤岡弘、ヴァージョンでは、音楽がジャズ テイストの金管楽器メインのものになっていて、その違和感たるやハンパなかった。これこそが当時、香港とこの地を植民地としていた英国で公開されたオリジナル盤だったのだろうか… あの最も印象的な ♪ ダカダカダカン タララン タララン タランララン パーパ、パーパー タラララーン ♪ が一切出てこなかいのだから、何をかいわんや である。


『 BRUCE LEE - THE BIG BOSS 』


01 Big Boss Theme
02 Mukuri
03 Girl Loves Cheng Li
04 Hard Drugs
05 The Amulet
06 Finding the Drugs
07 China Love
08 Malaparte Sinus
09 Communication in Hyperspace
10 Cheng Li and His Friends
11 EKG
12 Big Boss and His Gang
13 Blood & Dead Friends
14 Moontown
15 Revenge & Corruption
16 The Fist of Fury
17 The Amulet (film version)
18 Big Boss and His Gang (film version)
19 Dream for Two
20 Bruce Lee Forever


’71 年、ブルース・リーは 『 ドラゴン危機一発 』 に主演したが、香港・英国以外での公開は ’73 年のブルース・リーの急逝まで待たなければならなかった。ジョセフ・クーが作曲したスコアは、あまりにも東洋的に過ぎ、観客が違和感を抱くだろうと危惧したドイツの配給会社は、スパイ映画や探偵映画などを数多く手掛けるベテラン作家 ピーター・トーマスに新しいサウンドトラックを発注した。トーマスのスコアはモダンなビッグバンド サウンドをメインにした洒脱なイージーリスニングに仕上がっており、結果的には世界公開された 『 ドラゴン危機一発 』 のサウンドトラックにも、このドイツの配給会社が差し替えたヴァージョンが採用されている。
日本オリジナル ヴァージョンは、ジョセフ・クーのメインテーマに、ピーター・トーマスの作品が混成した英語版をベースに、日本で制作されたマイク・レメディオが熱唱する 「 鋼鉄の男 」 (To Be A Man ) がさらに追加されている。’01 年 10 月、マイク・レメディオが日本でコンサートを行った際、この歌詞に感情移入し過ぎ、落涙しながらも歌い上げた姿は実に感動的であった。

それにしても 『 ドラゴン危機一発 』 である。
この “ 危機一発 ” 、007 第二作の日本初公開時、ユナイト映画の宣伝マンだったあの水野晴夫さんが、本来、“ 一髪 ” と表記すべきところをあえて 『 007 危機一発 』 ( 現在は 『 ロシアより愛をこめて 』 というタイトルの方が一般的 ) としたのである。日本語表記を変えるつもりか! と大顰蹙を買ったという逸話もあるが、やはりここは “ 一発 ” 以外考えられない ( 笑 )。我が、ブルース・リー作品もこの字面の良さに倣ったのであり、最近、ブルース・リーのフィルモグラフィーに 『 ドラゴン危機一髪 』 と表記されているのを見ると、このド素人め! と思ってしまう。
同様に、ブルース・リーの代名詞となる怪鳥音も本来は、主演第二作 『 ドラゴン怒りの鉄拳 』 から登場するもので、『 危機一発 』 の怪鳥音ヴァージョンに違和感を感じるのは、正に第一世代ならではの感覚だ。
また、アメリカに二本同時に輸出した際、『 危機一発 』 と 『 怒りの鉄拳 』 のタイトルが逆になってしまい、『 危機一発 』 を 『 Fist Of Fury 』 、『 怒りの鉄拳 』 を麻薬密売に関する超有名作品 『 フレンチ・コネクション 』 ( ウィリアム・フリードキン ’71 年 ) にちなんで 『 The Chinease Connection 』 としていた時期もあり、実にややこしい。
ストーリーも見事なまでに出鱈目 ( 笑 ) で、スポンサーを探していたレイモンド・チョウが電話中の茶飲み話ででっち上げた製氷工場だか精米工場に出稼ぎに行く華僑の話がベースになっている。ブルース・リーがボスの邸宅にカタキ討ちに行くクライマックスで、袋に入ったスナック菓子のようなものを食べているが、あのお菓子のメーカーこそ、件のスポンサーだったのだ。
当初、ブルース・リーは登場、30分で麻薬密売組織に殺害され氷詰め ( ! ) にされるはずだったのだが、ブルース・リーの演技があまりにも素晴らしく、突如、主役が交代し、恐るべきことに主演であったはずのジェームズ・ティエンがその憂き目にあっている。開巻30分はティエンの活躍シーンの方がはるかに多いのもそのせいだ。ブルース・リー不在とは言え、『 死亡の塔 』 では、逆にブルース・リーが全く同じ目にあっており、主演のバトンをタン・ルンに渡す というのもなかなか因縁めいていて興味深い。

※ 最新情報 ( 2016 年 8 月 ) : 破格の金額でゴールデンハーヴェストと契約したブルース・リーが、登場 30 分で殺害され氷詰めにされるというのは、何とも腑に落ちない話ではあったのだが、やはりこの件は数あるブルース・リー凄すぎ伝説の一つだったようだ。ややこしいのは、ジェームズ・ティエンはやはり最初から殺されるコトになっており、実はこの作品自体、ブルース・リー以外の俳優に準備された企画だった というところから、この伝説が生じたようである。


因縁の 『 007危機一発 』 と 『 ドラゴン危機一発 』 のサントラ盤付録ポスター。
いわし亭はこのブルース・リーのポスターを3年くらい部屋に貼っていた

というわけで、ブルース・リーは田舎が洪水で被害にあい、親戚を頼ってタイに出稼ぎに来た華僑の青年チェンチャオ・ワンを演じるのデス。ブルース・リー自身まだまだ身体に丸みがあって、随所で見せるはにかんだような表情は、正に青年特有のアイドル的魅力がキラキラしていて、彼の主演映画の中では一番素敵だと思います。
ブルース・リーが工場の班長になったということで仲間のみんなと隊列を作って行進してくるところ ( ブルース・リーだけ腰の位置が全くブレていないのが凄い ) や、トニー・リュウに言い寄られて困っているマリア・イーがブルース・リーに助けを求めて抱きつき、危険が去ると我に帰ったブルース・リーが急に彼女からさっと離れる ( 速! ) ところ、売春宿から出てきたブルース・リーがマリア・イーとバッタリ出くわして、バツが悪く、物凄いスピードで逃げていくところ等々、微笑ましいエピソードがたくさん入っていて、 『 ドラゴン危機一発 』 は本当に愛すべき小品という感じがします。

なのでブルース・リーだけとれば満点なんですが、映画としての完成度はかなり低い、B 級映画ど真ん中一直線、と言わざるをえませんなァ。なにしろ脇役のヒトの貧相な感じが堪りませんもん。どう見ても、私服で映画に出ちゃってるし ( 笑 )、ホントそのへんに寝てた人、連れてきたみたいで。ジークンドーが世界映画史に初登場する記念すべきシーンですら、後ろに映っている野次馬なんて、映画撮ってるのをたまたま見つけて、勝手に混ざっちゃってるって感じだし。
同時にフィリピン カリを応用したナイフ アクションが中心になっている関係で流血度、残酷度もピカイチ ( 苦笑 )、どう見ても R 指定バリバリの切株映画になっちゃってる。 何しろナイフがことごとく急所に命中しているのだから、ブルース・リーにやられた人は、まず間違い無く死んでいるでしょう。TVドラマ 『 水戸黄門 』 大団円の大立ち回りのように、清清しく ( 苦笑 ) 人を殺めていくブルース・リーはホントに凄いですな。 

マラリンの名前表記は色々あるが『危
機一発』では Malalene となっている
R 指定と言えばタイのトップ女優のマラリンさん ( 役名がウーマンというのも何か凄い ) のバスト アップのサーヴィス ヌードもバッチリでしたね ( 笑 )。何しろ、ブルース・リー生涯ただ一度のベッドシーンのお相手なのですから、ブルース・リーのアクション目当てで劇場に詰めかけた少年たちへのインパクトたるや絶大だったことでしょう。この人、実際相当な美人だと思うのは、いわし亭だけでしょうか?

その他、殴られたヒトがそのまま人型の穴をあけて壁の向こう側に突抜けてしまったり ( トホホ )、お菓子をかじりながら次々と雑魚どもを倒していくブルース・リー独自の間合い、ナイフでえぐられた腕から流れる血を舐めたり ( 『 燃えよドラゴン 』 で同じことをしているのが興味深いですね ) 等々、従来の武侠映画的なアクションとは全く異なるブルース・リーの動きをがっちり受け止めたハン・インチェの殺陣にも目を見張るものがあります。実はこの作品のアクション監督はブルース・リーではなくて、この髭のおじさんなんですね。ハン・インチェ演じる麻薬密売組織の小親分が、実はスキ者の親バカちゃんりんというのも、何とも笑える設定ですし ~日曜洋画劇場・藤岡弘、ヴァージョン では大塚周夫さんのアテレコが凄くいい味出してましたねェ ( 笑 ) 格闘芸術たるジークンドーに与えられた字幕が何とケンカ、そしてブルース・リー自身もただのケンカっ早い田舎出のニイちゃんでしかないという…

そう言えば、ブルース・リーが母親からケンカをしないようにと、もらった翡翠のペンダントを壊され、とうとう怒りがばくはつ五郎するシーンで、 ( このシーンも考えてみれば、ただのストライキなのに、ナイフとかオノとかヤリみたいのとか、とんでもない殺人武器が使われている)、最初にブルース・リーと一対一で戦った人って、『 ドラゴン怒りの鉄拳 』 では金髪のズラかぶって袴を反対に履いてたニセ日本人や 『 燃えよドラゴン 』 の宴会シーンで積極的に料理を頼んでいた人ですし、地下牢のシーンでブルース・リーにヌンチャクを取り上げられてボコボコにされる人は、ジェームス・ティエンと一緒にハン・インチェの屋敷に行って、脇腹にオノが刺さって ( ゲ! ) 死んだ人ですよね。


マリア・イー ( 上 ) はブルース・リーとは
別に、もう少し出演作を見てみたかった
ヒロインのマリア・イー、客演のノラ・ミアオともホント可愛いねェ。マリア・イーのブルース・リーを慕う気持ちが、何と言うかこう隠していてもさりげない動作にふと出てしまうという風情が何ともアジア映画って感じだし、ブルース・リーを道端で見守っているノラ・ミアオの母親のような優しいふくよかな感じも捨て難いですなァ…

ま、結局、“ そのへんに寝てた人テイスト ” こそ 『 危機一発 』 最大の魅力ではないでしょうか。だいたいブルース・リーが初出勤の日、親戚のジイさんを波止場まで見送りに行って遅刻 ( ! ) し、そのことを現場監督に注意された腹いせで力任せに押した氷が割れて麻薬密売の事実がばれ、そのおかげで親戚の一家が皆殺しになっちゃうんですから、この作品でのブルース・リーってただの疫病神ですやん。
ただ、この疫病神キャラは、その後の 『 ドラゴン怒りの鉄拳 』 や 『 ドラゴンへの道 』 でも継承されてるんだから、実はかなり重要な設定だったのかもしれないですな。そんなこんなで、『 ドラゴン危機一発 』 には、色々な意味で原石的な面白さがメガ盛り状態に詰まっています。


日曜洋画劇場・藤岡弘、ヴァージョン では、たまたま割れた氷から飛び出した麻薬の袋に気付いたブルース・リーの親戚が、工場長に仲間入る様、説得されるシーンで、怖気づいた彼らが丁寧に断りを入れた時の工場長のセリフが凄過ぎます。これこそ 『 ドラゴン危機一発 』 を象徴する台詞と言えましょう!

“ 私たちは田舎者で、麻薬なんてよくわからないし、やめときます ”
“ そうか~ 仲間に入ってほしかったなぁ まぁ、いいや






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