2015年10月31日土曜日

いわし亭の日々是好日 2015 年 10 月


10 月 9 日 ( 金 )

十三ファンダンゴに、{ 新訳 } アレルギー を聴きに行く。
オリジナル ALLERGY でギターを弾いていた ONO ( 小野昌之 ) はバンド解散後、ミチロウのフィッシュイン・スターリン、Michiro get the help! に参加して、非常に切れ味の鋭いサウンドを聞かせた。1983年、CITY ROCKER RECORDS からのデビューアルバム 『 アレルギー作用 ( プロセス ) 』 は音の悪いのが難点だったが、結構な愛聴盤だった。’12 年にヴォーカルの宙也、生誕 50 年 ~ 新宿ロフト デビュー 30 周年記念祝祭で再結成された。
オリジナル メンバーのヴォーカル 宙也とドラムの荒木康弘に若いギターとベースを迎え入れて、見事に蘇っている。特にベースがオリジナル ALLERGY と同じく女性と言うのもポイントが高い。宙也は手足を使って十字を作りキリストの磔刑を思わせたり、ステージ中央で腰から崩れ落ちるように祈りを捧げるポースなど多分に宗教的な気配をたたえたアクションをふんだんに見せる。
残念ながら、フロアが満員とはいかなかったが、もっと沢山のリスナーに聴かれるべき音だと思う。


10 月 10 日 ( 土 )

知り合いの鍼灸治療院に行く。鍼灸師の彼とは高校時代からの付き合いで、音楽の良きライバルでもある。日本一の先生の内弟子として培った鍼灸師としての腕はおそらく当代一で、毎回、無理を言っては、酷使した老体をオーヴァーホールしてもらっている。
ここを訪れる度に楽しみなのは、彼がいわし亭用に様々な音源を準備してくれていることで、今回は古楽がメインだった。残念ながら、いわし亭は古楽については門外漢で、彼のレクチャーを拝聴するにとどまるのだが、実は古楽と土着的な民俗音楽のミクスチャーをアップデートした音楽こそクラシック ベースのプログレッシヴロックの雛形なのだ。もちろん、プログレッシヴ ≒ 先鋭的、前衛的 という言葉に従うならプログレッシヴロックとは、クラシックよりはむしろフリー ジャズに接近するべきで、今日的にはノイズといったジャンルとの交雑の方が字義的には相応しく思える。
さて、特に時間を割いて鑑賞したのが、オリヴィエ・メシアンの壮絶なオルガン ソロ、フランチェスコ・ロマーノの鋭角的でスピーディなヴィオラ=ダ ガンバである。いずれも古楽のイメージをかるくブッ千切るとんでもない演奏だった。また、この流れから我々の世代にはなじみの深いリッチー・ブラックモアが奥方のキャンディス・ナイトと組んだブラックモアズ ナイトも紹介してもらった。いわし亭は最近の J - Pop 事情についての私見を披瀝。

久し振りに金久右衛門 梅田店で、大阪ブラック 醤油ラーメンを食べる。少し喉が渇いたけれども、やはりここは旨い。自家製のおすすめ太麺が良い感じだった。

難波 BEARS に あぶらだこの長谷川裕倫のスピンオフ バンド kito-mizukumi rouber を聴きに行く。


10 月 17 日 ( 土 )

早川義夫さんの唄を聴きに、京都の SoleCafe に出かける。
佛教大学の近くで、ダイレクトにはバスでしか行けないとてもアクセスの悪い場所なのだが、こじんまりした手作り感満載のライヴが提供され、意外な大物も多数出演するから、ミュージシャンの間では評判の良い小屋なのかもしれない。SoleCafe 自体、清潔感に溢れた洒脱なカフェで、後藤まりこさんはここのパスタが凄く美味しかった とツイートしている。
40 人くらいの熱烈なファンでいっぱいの場内に、早川さんのドスの利いた歌声が響き渡る。早川さんの曲調には、やはりこの声質が不可欠だろう。エレクトリックピアノ ( 早川さんが自宅で作曲したりする機種と全く同じ型番だそうだ ) も良く鳴っていたし、歌詞もきちんと降りてきて、早川さんの世界が約 2 時間に渡り、ディープに展開された。
こちらの思い入れ以上に気さくな人で、著書や CD などへのサインは、お願いすると必ずしてくれる。最新刊 『 心が見えてくるまで 』 の表紙にバッチリ、してもらった。うれしい。

帰りのバスまで 30 分以上あったので、本当に久し振りに天下一ラーメンに行った。こってりスープにかまけて、麺の湯切りが絶望的にあまい。麺のヌルヌル感がくっきり残っていて不味かった。おそらく、天下一ラーメンにはもう二度と行かないだろう。


10 月 31 日 ( 土 )

筋肉少女帯の新譜 『 おまけのいちにち ( 闘いの日々 ) 』 リリース ツアーに行く。
筋肉少女帯は大槻ケンジがまだ大槻モヨコと名乗っていたインディーズの当時、もはやビジュアル系専門誌と化した “ フールズメイト ” の判型がまだ小さかった頃のライヴレポート欄で見て以来、ナゴムレコードは買っていたし ( あと電気 GROOVE のルーツの人生とかも懐かしい )、オールナイトニッポンなんかもよく聴いていたし、 『 グミ・チョコレート・パイン 』 は大好きな映画だし、テレビで 「 元祖高木ブー伝説 」 を演奏したのも見たし、メジャーデビューした頃には、心斎橋のミューズホールにも聴きに行ったし、年齢的にも同世代だし、意外や意外、割ときっちりフォローしていたのだった。
それでも流石にここまで持ち堪えるとは、思いもしなかった。大槻ケンジ自身のリーダーシップの無さも災いして、メンバー間のいざこざや脱退等から、活動休止の期間も結構長かったし、初期の頃から量産に向くタイプのミュージシャンでもなさそうで、インディー時代の作品の拡大再生産で食いつないでいる観が強かったこともある。
だから、ライヴハウスとはいえ、フロアが見えなくなるくらいの集客は、昨今の事情を鑑みればかなり凄いし、彼らが大槻のアジテーションやその一挙手一投足に対して、すかさずレスポンスを返し、お決まりのムーヴを楽曲にのせて繰り出すというライヴの基本が、忠実に再現されているのを目の当たりにすると、やはり感無量なのだ。今では、大槻ケンジその人よりも各メンバーについているファンの方が多い印象さえあり、キャリアの長いバンドならではの風景であるよ と思い知る。
いわし亭は、大槻ケンジがホストを務めた 『 日本のほほん化計画 』 をわりと熱心に見ていたのだが、この番組でのオーケンの脱力感たるやハンパなく、もはや必要以上に大騒ぎするキャラではない分、良い感じでバンドの再始動も決めることが出来たのだろうし、おそらくメンバーにとっても、現在は相当、居心地の良いバンドになっているに違いない。
筋肉少女帯はやはりライヴバンドで、音盤よりも、生で演奏しているのを見て聴く方が断然、良い。各メンバーとも相当、難易度の高い演奏をリアルタイムで繰り広げるが、単なるスキルの見せびらかしになっていないのは、オーケンの歌心であり、筋少らしい決めのフレーズやメロディが随所に顔を出すせいでもある。この辺り、やはり筋少はロックであり、プログレの申し子と言う感じがする。話は変わるが、空手バカボンで口ずさんでいたY.M.O.の 「 ライディーン 」 とキングクリムゾンの 「 スターレス 」 こそが筋少のルーツであることは間違いないだろう。ただし、この2曲は CD 化の際、やはりと言うか当然と言うか OK が出なかった ( 笑 )



10 月に見た映画 ( 満点 ★★★★ )

10/03 『 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 』 ★★1/2
10/03 『 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド 』 ★★1/2
10/05 『 月イチ シネマ歌舞伎/高野聖 』 ★★1/2
10/08 『 ピクセル 』 ★★1/2
10/14 『 天空の蜂 』 ★★★
10/22 『 アデライン、100年目の恋 』 ★★★
10/30 『 ヒロイン失格 』 ★★1/2
10/31 『 先輩と彼女 』 ★★1/2



この項、おわり






0 件のコメント:

コメントを投稿