2013年10月16日水曜日

連載 キノコノトリコ~キノコホテル物語 【緊急レポート】


その時なにが起こったの? 


7月、マリアンヌ支配人が倒れた。緊急事態である。
支配人自身がツイッター、ブログで詳細について言及しており、今回これをそのまま転載することにした。彼女の発言を見る限り、予断を許さない状況にある とも考えられ、とても心配だ。
ただ、この原稿を書いている 10月 1日現在、引き続き相当数のイベント、実演会を地方公演も含めてこなしてきており、とりあえずの危機は去ったようにも思える。今後も慎重に見守りたい。


2013 年 8 月 19 日 キノコホテルは神戸 “ 太陽と虎 ” における集合ライヴで、ガガガSP キュウソネコカミ ( オープニングアクト : 夜行性のドビュッシーズ ) と共演した。一番目はないと思っていたのだが、あにはからんやキノコホテルからのスタートだった。また、過去の実演会と比しても最短の 40 分弱というショート ステージだった。短かったけれども MC は一切なく、ひたすら演奏し続けるという、ストイックでタイトなステージを展開し、セットリストには新曲も含んで、印象、内容ともすこぶる良かった。アンコールもなしという潔さである。他のバンドには特に興味がなかったいわし亭にしてみれば、とっとと帰れるというのは、この上ないメリットで、新作のTシャツを購入すると、大満足で家路についたのである。いわし亭は、ただ単に長いライヴは好まない。むしろ、本編 50 分、アンコール 20 分の約 70 分程度のライヴが、緊張感や集中力の点からも最も好ましいと思っている。

ただ、集合ライヴの場合、最後に全員で何か演奏するといったおまけがつきものである。ま、キノコホテルの場合、かなりワガママで、頭脳警察のような社員 ( ケメ鴨川 ) がファンであるバンドとの対バンのケースを除き、こういったことも珍しい。まず、ないだろうと多寡をくくっていたのだが、一応、ツイッターを確認した。すると、マリアンヌ支配人がブログを更新しており ( 【5か月ぶり】お読みなさい、胞子達 ) 、大喜びで読んだのだが…


----------------------------------------------------- マリアンヌ支配人のツイッター

‏7月26日
弊社公式 Twitter の内容の通り、昨夜緊急入院する羽目になったワタクシ。しかもよりによって私用で滞在中の遠隔地で… 29日の LOFT を楽しみにして居た胞子達にはお詫び申すわ。もう少し待って居なさい。

7月31日
無事、娑婆に帰還。全くしんどかったわよ。これから先、京都弁を耳にする度にこの一週間に及ぶ禁欲生活を思い出すのだわ、きっと。折れた鎖骨の処置はこれからだけど、再び日常に戻って来れてまずは一安心。死ななくて、良かった。

8月2日
紹介状を持って朝も早よから大学病院へ。散々待たされてテロりそうになったわ。骨折はメスを入れずに治す事に決定したが、整形外科からも脳神経外科からも鉄の禁酒令が… 鳴呼、已んぬる哉。口惜しいから明後日ひたちなかで燃え尽きてやる。覚悟おし。

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2013年08月16日 19:17

文月の古都は危険なかほり

退院から早いものでもう半月が経過したわ。
ツイッターでしか報告をしていないので、何の事やら? と云う胞子達も多い事でしょう。

そう、ワタクシは去る 7月某日、猛暑真っ只中の京都へ 1泊 2日の小旅行に出掛けたのであります。
しかし結果的に、2日間の滞在が 1週間になってしまったという…。
随分沢山の人にご心配お掛けしたみたいなので、ここに書ける範囲で記しておこうとぞ思い、つらつらと思い出すままに綴ってみる事にしたい。

あれは忘れもしない 2日目の夜 9時前のこと。
帰りの新幹線まで若干時間があったので、駅構内のバアに入ってお酒を飲んで居たわけ。連れと談笑している時にそれは起きたの。
おや? 頭の中に浮かんだ事が言葉に出来ない…!
「 やだ、なんだっけ なんだっけ ? えーと、えーと… なんだっけ 」
頭を抱えるワタクシ。
「 どうしたんですか ? マリアンヌさん! 」
そこで目の前が真っ暗になり、意識がぷつりと途絶えた。

目を覚ますと救急車の中。
頭部にガーゼを当てられ、腕には血圧計が巻かれて居る。
「 え ? どおゆうこと ? 」
「 わー、マリアンヌさん ! びっくりしましたよ。痙攣しながら血吐いて倒れたんですよ ! 」
「 えっっ、と、吐血 ? 」
再び気絶しそうになる。
「 東京の方だそうですね。受け入れ先の病院が見つかりましたから着いたら色々調べましょう。今、頭から結構血が出て居るんで動かないで下さいね 」
と救急隊員。
あ、あたまから流血…

やがてとある大病院の救急センターに到着し、頭髪に生々しくこびりついた血を看護士に拭き取ってもらうと、整形外科の女医からいきなり2つの選択肢を突きつけられる。
「縫うのと、ステープラ(医療用ホチキス)で止めるのと、どっちにします?(京都弁のイントネーション)」
「 いいいい、痛く無い方で… 」
「 糸で縫う場合は麻酔使いますけどね、ステープラは麻酔無しでバツバツっと… そうですねぇ、この傷だと4針くらいやね。すぐ終わりますし 」
「 そ、そうなのね… じゃ麻酔ありで… 」
「 麻酔の注射がまた、かなり痛いんですわ 」
「 ( ふざけんなー!!! ) ええ、やだ、どうしましょう 」
結局ステープラになった。傷口周辺の髪は無残にも剃られた。まあ上から髪で隠せるのが幸いだが。

診察の結果、吐血は頭部出血の見間違いである事が分かった。
そして左鎖骨が折れて居る事が判明。頭部 CT では明らかな異常は無し。
紹介状を書いてもらい、引き続き東京の病院で治療を続ける事になったわけ。
ここまでは、まあ良かった。
既に帰りの新幹線は無かったため、市内のホテルを急遽押さえて延泊する事に。
「 やれやれ、大変だったわねーえ 」
「 もう勘弁して下さいよー。骨折れてるんだから安静にして下さいね 」
などとお喋りして居たところに再びあの現象が起きたのである。
「 …でねー それで… あれ ? なんかおかしい。なんだっけ、えーとえーと 」
「 ちょっとー、ふざけるのはやめてくださいってば… え ? まさか本気ですか !? 」

またしてもワタクシは失神したのであった。

先ほどと同じ病院に送り返され、MRI検査を初体験する羽目になったのだが。
寝かされてヘッドフォンを装着させられると、聴こえて来たのはワタクシの好きなショパンの幻想即興曲。
ああ、これを聴いて居れば良いのね。と気楽に構えた瞬間、工事現場のような凄まじい騒音スタート。
これは一体何事か !?
いつまでも終わらない耳をつんざく轟音。本当に殺されるのかと思ったわ… まさかあんな拷問機具だなんて。うちの従業員教育に導入しようかしら… などと思う余裕はその時は無かった。
MRIでも異常は見つからなかったのだが、脳波がおかしいってんで、そのまま入院が決まってしまったわけ。
29 日のロフトでの実演会にはどうしても間に合わせる算段がつかず、止むなく出演を取りやめに… 申し訳無かったと思って居るわ。
8 月 4日のファッキンジャパン迄には何が何でも東京に帰らなくてはいけないとドクターに再三訴えて、脱走同然で抜け出して来たの。

そして久しぶりのステージ。
不自由な左腕の痛さなど忘れて普段と同じように鍵盤を弾き狂ったわ。
終了後、凄まじく痛んで閉口したけれど、まあワタクシって所謂そう云うタイプなわけ。

結局鎖骨は、東京の医師と相談して、メスを入れずに自然治癒力に任せる事にしたの。
だって自慢の鎖骨に無残な傷跡が残ったら哀しいじゃない。

そんな訳で、来週は神戸、福井、金沢に出没するわ。
詳細は弊社ホームページをご覧の上、会いに来て頂戴。

ではまた
ご機嫌よう。

★ 追記 ★
京都タワーのキャラクター 「 たわわちゃん 」 が、帰京後妙にジワジワ来て居る今日この頃。
あのダッチワイフのようなお顔立ちと、コンドームのような形のボディ。
東京タワーのノッポンよりもワタクシは断然たわわちゃん派だわ。
そんなワタクシへのお見舞いはこちらへ↓
150-0001 東京都渋谷区神宮前 2-34-17-5 F 
ヤマハミュージックコミュニケーションズ マリアンヌ様のお見舞い係

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出演はこの並びの順かな? とも思ったのだが

マリアンヌ支配人は、5 月の実演会の際に、以前神戸に来たのは 2010 年 と話していたのだから、なんと前回から 2ヶ月スパンの実演会開催となった。なかなかのハイペースである。

7時
場内に入るとオープニングアクトの “ 夜行性のドビュッシーズ ” の演奏がちょうど終わるところだった。客の入りは、まぁまぁ満員で、このライヴハウスの構造上、入口のところで留まっていては、モニターでライヴを見る羽目になる。頑張って、ステージの方に進む。イザベル=ケメ鴨川の立ち位置に合わせて、ステージ向かって右側に陣取れた。
ステージには紗幕がかかっており、一番目のバンドが準備をしているようだが、どのバンドなのかが確認できない。ただ、紗幕を通してミリタリー ルック様のものが見えた気がしたことやシンセサイザーの試演の音が聞こえていたので、これはキノコホテルが一番目の可能性が高いなあ と感じた。

7時15分
力強いドラムの号砲とともに紗幕が上がる。スピードの乗った硬く細かいギター カッティングが鳴り響き、やはり、そこにいたのはキノコホテル。ここのところ、定番オープニング ナンバーとなった 「 エレキでスイム 」 でスタート。キノコホテルの一大特徴とも言えるインストゥルメンタル重視、やはりこのオープニングには有無を言わせない力強さがある。マリアンヌ支配人がサイレンつきのメガホンを持ってステージに登場すると歓声はさらに大きくなる。マリアンヌ支配人が定位置に付くと、電気オルガンと電気ギター、二つの音色が絡み合い、ヴァイタルなメロディが紡ぎ出されていく。
「 エレキでスイム 」 は最新アルバム 『 マリアンヌの逆襲 』 の収録曲で、録音は 4 月頃のはずだが、現時点、このカヴァー曲を完全にレパートリーにしてしまっているキノコホテルのフレキシビリティは流石である。もはや、キノコホテルのオリジナルと見紛う 「 エレキでスイム 」 は、これからも長きにわたって演奏されていくことであろう。

ここから、メドレーに近い怒濤の演奏が続く。あいさつ程度で MC らしい MC もほとんどなく、演奏は非常にストイックで引き締まった緊張感を持続する。ヴォーカルはいつも以上に力強く、マリアンヌ支配人の動きもよどみない。「 愛と教育 」 などは ♪ さぁ もういっかぁぁぁぁぁぁぁ~い ♪ とブレイク前のフレーズを息の続く限りという感じで、恐ろしく長めに歌ったりもして、驚かされた。

少し気になったのは、マリアンヌ支配人のものすごい汗。もちろんまだまだ残暑厳しいお盆明けではあるのだが…

従業員紹介の BGM がいつもの 「 #84 」 から新曲にチェンジしていて、少し違和感があったが展開される光景はやはりいつもと同じ。マリアンヌ支配人もこなれた動きで、手にした鞭をしなやかに振り回し、M 字大開脚でフランソワの上に乗り、また “ 太陽と虎 ” の低い天井付近を走る排水管のようなものにぶら下がるそぶりさえ見せた。

草創期から連綿と演奏されてきた定番曲を変える というのも大英断ではあるが、ここに来て、さらにジュリ島の存在をアピールする目的があるのだろう。やはりジュリ島が入社する以前の楽曲では、ジュリ島の潜在能力を 100 % 引き出すことはできないわけで、いわし亭はジュリ島をフィーチュアした新曲の登場を待っていたのだ。

この従業員紹介を含め3曲の新曲が披露されたが、共通しているのは以前、マリアンヌ支配人がインタヴューで語った “ 以前のリズムセクションはスピード感に欠けるところがあったが、今は同じ BPM でも疾走感が違う ” という発言そのまま “ 迅い ” ということだ。マリアンヌ支配人は、知的にさらりと表現しているが、これは楽曲の根底にあるリズムの質が、いわゆるタメを重視するヨコノリから前のめりのパンキッシュなタテノリに変わった というくらいの大きな変化である。
そして、それを実際にやってのけたファービーのドラマーとしてのキャパシティは、非常に高く評価できる。告白すると、いわし亭も若かりし日、ドラムをやっていたのだが、横ノリのルーズなブルーズしか叩けなくて、バンドとしてはパンクをやりたかったのだが適わず、あっけなくスティックを置いてしまった苦い経験がある。リズムやビートに関するセンスはかなりな部分、生得的なものに左右されるため、それを後天的に修整していくには、相当な努力が必要なのだ。

新曲は非常にシンプルな演奏にのせて電気ギター・電気オルガンに加え、唄が第三のメロディを重層的に奏でているもの、ファービーのドラムが前面に出る中、全楽器がリズムを刻む攻撃的なもの、そしてジュリ島のリードベースとも言うべき重低音がぐいぐい引っ張るテクニカルで非常に複雑な構造を持っているもの で、3曲とも全くタイプは異なるが、楽曲の根底を流れる疾走感は抜群だ。楽曲の持つスピード感を殺さずに、自由度を保ちながら演奏するというのは、言わばバンド アンサンブルの極致であり、ことに従業員紹介の BGM は実にプログレッシヴで素晴らしい。

従業員紹介の終盤、混沌としたサウンドの中から、ジュリ島のベースがせり上がる様にフェードインしてくると実演会もいよいよクライマックス。「キノコホテル唱歌」のスタートだ。ケメ鴨川とジュリ島が90度に身体を回転させて向かい合う振り付けを決める。キノコホテルの楽曲には、こうしたあらかじめ決められた振り付けを持つ曲はほとんどないが、エマニュエル秘書から連綿と受け継がれるこの振り付けは、いつ見てもやはり可愛らしいと思う。


エマニュエル秘書の退社、ジュリエッタ霧島の入社という激動の 2012 年末から、2013 年前半のジュリ島お披露目ツアーを経て、2013 年夏、キノコホテルの新体制はここに完成したと言える。2010年、最恐ガールズバンドとしてキノコホテルの名を轟かせた “ サロン ド キノコ ~ 秋の人間狩り ” が、2013年秋、装いも新たに帰って来る。


♪ 行きはよいよい 帰りは恐い 
♪ たどり着けばまたキノコホテル
♪ Hey!


我々、胞子達はやはりまたキノコホテルにたどり着く他ないのだ。


『秋の人間狩り リターンズ』
セットリスト:2013 年 8 月 19 日 神戸 “ 太陽と虎 ”

「エレキでスイム」
「真っ赤なゼリー」
「ノイジー ベイビー」
「愛と教育」
「新曲」
「新曲」
「キノコノトリコ」
「新曲」(従業員紹介)
「キノコホテル唱歌」

アンコール なし



















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【第2回】 現在に至るめまぐるしいメンバー チェンジ(2013/2/1 改訂)

【第3回】 キノコ再生~最強メンバー 集結

【外伝】エマニュエル小湊 秘書~キノコホテル退職直前実演会
     2012年12月6日 サロン・ド・キノコ~四次元の美学・名古屋編 クラブクアトロ にて

【第4回】 リズムセクション 電気ベース担当:エマニュエル小湊 & ドラムス担当:ファビエンヌ猪苗代

【特報】新従業員 ジュリエッタ霧島 颯爽登場!(1)(2)(3)(4)
   2013年2月9日 サロン・ド・キノコ~河原町炎上・第一夜 京都磔磔 
   2013年2月16日 FUZZ! presents キノコホテル実演会 高松swagg
   2013年5月24日 サロン・ド・キノコ~淫力魔女の生贄・神戸編 太陽と虎
   2013年5月25日 サロン・ド・キノコ~淫力魔女の生贄・大阪梅田編 Shangri-La
   2013年8月19日 サロン・ド・キノコ  神戸 太陽と虎

【緊急レポート】その時なにが起こったの? 風雲急! マリアンヌ支配人、倒れる

【 緊急レポート 】 「 ノイジー・ベイビー 」 カヴァー騒動顛末記 ~ 歌は誰のものなのか?

【 第5回 】 電気ギター担当:イザベル=ケメ鴨川







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